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画法

切絵の画法とは、個々の技法を指すわけではなく、切り貼り系絵画の特性から来るものをいいます。

切絵を作るには、切る練習と共に、一般の絵画と同様な"描く練習"をする必要があります。
しかし、画材そのものが違うので、油絵や水彩画などと同じ練習をする必要はありません。特に、"鉛筆や絵具を使いこなす練習"は不要です。

では何が必要かというと...

絵を描くこと

子供や絵の初心者は、そっくりに描いたものに驚きます。
(ある程度描けるようになると、そっくりに描くより別のことに重大さを見出すようになるのですが。)
見たものをそのまま表したいというのは、人間の根源的な欲求です。そっくりに描けることは心に満足をもたらし、好きなものを記録できるという喜びを与えます。

しかし、絵画の専門家(画家)になると、今度は幼い子供の描いた絵を、絶大に評価するようになります。また、専門家はそっくりに描くことを否定する傾向があるのですが、これは何を意味するのでしょうか。

絵画の方向として、良く見て描く方向(具象)がひとつあり、もうひとつシンボル化したものを描く方向(抽象)があます。

見たとおりに、そっくりに描くのは、具象です。
見たとおりに描くには、訓練が必要です。一つは見ることの、そして描くことの(手の訓練)。

子供の描く絵はシンボルです。それは言葉と同じで、山、空、花、太陽...と、ひとつずつの物事ではなく、抽象化されたイメージを覚えていくのです。
描くこともシンボルとなった形を描いているのです。
(これが、"ものの本質を描きたい"と望む画家の心を捉えるのでしょう。シンボルは本質の抽象ですから)

子供がある程度の年齢になると、自分の描く絵が実物に似ていないことに気づきます。シンボルと現実の違いに気づき、見えるとおりに描きたいと思うようになります。しかし、シンボルのフィルターを通して見る現実は、なかなか思うように「そのとおり」になってくれません。

見ることと描き表すことは別のことです。また心理的に何を見ているのか、何を描き表したいと思っているのかと、実際に見ているものとは区別されるべきことです。
それを区別せずに絵画の訓練することは、過大な負担を強いることになります。
現在絵画の専門教育を受けた人々は、"長期間のデッサン"によって見る方法(シンボルではない現実をみる方法)を訓練されています。
これは、西洋の絵画教育方法で、デッサンは正しい形態や陰影による立体感を表現のためには必須だとされているようです。デッサンを繰り返すことによって、そっくりに描く訓練をするのですが、しかし、この訓練は西洋人ではない我々日本人には負担が大きいらしく(多くが飽きたと言う)、訓練をされた専門家は「そっくりに描く」ことに拒否反応を起こすことがしばしばあるようです。

長期間のデッサンを避けて、見たとおりに描けるようになる道があります。
それは、人間がものを見ることがどういうことなのか理解して、注意すべきこと(シンボルで見ないこと)を把握する道です。
ただし、描く訓練(手の使い方の訓練)は行う必要があります。

見ること

見たものを描き表す時は、普通に見る(look)よりも意識して見る(watch)が必要です。

見たものは網膜で情報化され、脳の視覚野に送られます。最近の研究によれば、視覚野には見たものを判断することはせず、そこから送られる大脳皮質に専門の細胞があるそうです。
形、色、陰影、動き、奥行きなどを判断する専門の脳細胞が確認されているのです。
良く見るということは、これらの情報を一つずつ意識して見ることです。

見たとおりに描くということは、平面である画面に 形、色、陰影、動き、奥行きの5つの情報を再現することです。(それ以外の情報有無や種類は、さらに脳科学が進むと判明するかもしれません)

しかし、動きと奥行き は動かない平面には直接は描けませんから、形、色、陰影の情報に変換して描くことになります。
動きは形や色として、奥行きは色々な遠近法という方法で形、色、陰影を使って表現されます。

また、眼の網膜には色を判断する細胞があり、それは色の三原色といわれる 赤、緑、青にそれぞれ反応する三種類の神経細胞だそうです。複雑な色は、印刷と同様にその三色の組み合わせで(最終的には大脳皮質で)判断されるのです。
網膜には陰影に反応する神経細胞もあり、絵画(や世界)を見るということは、この四種類の神経細胞の情報が元になっているのです。

世界的に見て原始的な絵画は、まず輪郭(形)を捕らえることから始まるようです。そして色、動き(形)は表していますが、多くは陰影と奥行きに欠けています。陰影を使った遠近法は、幾何学的遠近法と共に、西洋絵画の大きな特徴となっています。

絵画の訓練は、この脳細胞と、描くための手(時にはそのたの体の部分)を訓練すれば良い訳です。脳細胞を1種類ずつ(形、色、陰影の3種類)を訓練すると、最終的に統合された能力ができることになります。
まずは、見ること、よく見ることから始まります。

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